診療の流れ

1.問診

診察前にあらかじめ問診票に病気の経過や症状などを記入していただきます。
その後、実際に診察室にて直接病状などをお聞きします。
診察室では話し声が外に漏れないよう配慮しています。 しっかり悩みについてお話しいただけると幸いです。

※ご記入いただいた問診票をお持ちいただくと、診療がスムーズに行えます。ぜひ、ご活用くださいませ。

2.診察・検査

実際にどのような病気か診察・検査します。
診察台では横向きに寝る体勢になっていただきます。
下着を全部脱がずに、少しずらすだけで診察を受けることができます。 そして、タオルを下半身に被せ、必要な部位だけが見えるようにします。

「視診」にて肛門の外側の状態を調べ、肛門周囲を触って見る「触診」、肛門の中に指を入れて病気の状態を確かめる「指診」を行います。
指先に滑りをよくするゼリーを塗って患者様に苦痛を与えないようにして行いますが、痛みがひどい場合などは無理に行いません。
その後、場合によって「肛門鏡」という診察器具を使います。 患者様の頭の位置にモニターを設置しており、ご自身で病気の様子を見ることが出来るようになっています。

3.治療

病気の診断をして治療方針を決定します。
治療には大きく分けて、薬物による保存療法、注射療法、手術療法があります。
生活習慣の改善と薬による治療で改善が見られない場合、注射療法や手術療法をお勧めします。

注射療法(ALTA注射療法)

注射療法(ALTA注射療法)は切らずに内痔核を治す治療法です。手術するほどではないが、薬の治療で治らないような痔核の方が対象となります。

日帰り手術

日帰り手術は局所麻酔もしくは仙骨硬膜外麻酔で行います。局所麻酔で行えば手術後すぐに帰宅できます。仙骨硬膜外麻酔で行った場合は、2〜3時間ほど病院で休んでから帰ります。 当院の治療は全て保険適用になります。

4.治療後の指導

手術が終わっても治療は終わりではありません。”ぢ”の再発予防のためにも、正しい排便習慣や食事習慣を身につけるよう指導していきます。

おしりの病気の種類

痔核(いぼ痔)

便秘などによる排便時のいきみや長時間、座りっぱなし、立ちっぱなしの姿勢を続けることで肛門の血行が悪くなり、毛細血管の一部が切れて出血したり、うっ血していぼのように出てきたものです。 発生場所により「内痔核」と「外痔核」に分けられます。

「内痔核」は通常痛みは感じませが、出血や肛門からの脱出(脱肛)により気づくことが多い病気です。軽度の内痔核では薬による保存的治療で改善しますが、出血が多い場合は診察時に血を固める注射療法や、脱出が大きい場合は手術をして治療します。 「外痔核」は重いものを持ち上げたり、スポーツなどで急にいきむことで肛門に血栓(血まめ)ができるものをいいます。通常であれば1-2週間の薬物療法で腫れが引いていくことが大多数ですが、痛みが激しい場合には局所麻酔下で血栓を除去します。

裂肛(切れ痔)

硬い便によって肛門付近が切れたり避けたりするものです。
男性よりも女性に多く見られる病気です。
出血は紙につく程度ですが、激しい痛みを伴うために排便を我慢して便秘になり、さらに症状を悪化させがちです。
繰り返すと肛門が狭くなったり、皮膚が盛り上がって「見張りイボ」というイボができることもあります。 肛門が狭くなった場合は肛門拡張術などの手術が必要となり、見張りイボが出来て痛みや肛門周囲が痒くなったりした場合はイボを切除することもあります。

痔瘻(あな痔)

肛門周囲が細菌に感染して炎症を起こし膿を出すおでき状の「ろう管」ができるものです。
発熱と肛門周辺の痛みを伴います。若年から中年男性に多いのが特徴です。 治療には手術をしなければならず、複雑な痔瘻や深い痔瘻は入院手術になることもあります。

その他のおしりの病気

便秘や下痢、過敏性腸症候群、下血、肛門周囲掻痒症、神経痛、おしりの性感染症(尖圭コンジローマ、HIV、梅毒など)などおしりの悩みがありましたら気軽にご相談ください。

日帰り手術について

  • 痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔瘻(あな痔)などのすべての肛門手術を日帰りで行います。
  • 麻酔は局所麻酔もしくは仙骨硬膜外麻酔で行います。そのため麻酔による合併症はほとんどありません。局所麻酔で行えば手術後すぐ帰れます。仙骨硬膜外麻酔で行った場合、2~3時間ほど休んでから帰ります。
  • 手術した日は帰宅後、安静が必要で仕事や運動はできません。また入浴、シャワー浴もできません。
  • 翌日か翌々日の診察が必要です。
  • 侵襲の少ない手術の方は翌日の診察の後は日常生活には制限はありません。侵襲の大きい手術の方は翌日の診察後から通常の生活はできますが、激しい運動、遠方への旅行、出張などは1週間後から可能になります。また1週間後、2週間後、1ヶ月後など、定期的な診察が必要です。
  • 重症で入院手術が必要な場合は、院長が責任を持って近隣の連携病院を紹介させて頂きます。
  • 院長は肛門手術の経験があり、前任の病院では月100件以上の手術を行っていました。

ALTA注射療法について

  1. ALTAとは硫酸アルミニウムカリウム水和物・タンニン酸の略で、痔核内に投与することで痔核を固めて小さくし、脱出と出血症状を改善します。
  2. 手術するほどではないが、薬の治療では治らないような痔核(いぼ痔)の方が対象となります。
  3. 小さいいぼ痔の場合は局所麻酔で、大きないぼ痔の場合は仙骨硬膜外麻酔で行います。仙骨硬膜外麻酔で行った場合、2~3時間ほど休んでから帰ります。注射した日は自宅での安静が必要です。
  4. 痔核に炎症を起こして小さくするので、注射後に熱が出たり、腫れたりすることがあります。また痔核が完全に小さくなるまで3週間ほどかかります。そのため注射後も定期的な診察が必要となります。
  5. ALTA注射療法は特殊な注射技術(4段階注射法)が必要です。間違った方法で注射すると効果がないばかりか、重大な合併症を引き起こす可能性 があります。

日帰り手術のメリット

  • お仕事、家事、学校などを長期間休むことなく治療が行えます。 入院に伴う精神的負担もなく、身の回りの準備も必要ありません。
  • 身体の負担が軽い 最新の医療技術で身体への負担を最小限にした手術を行いますので社会復帰が早まります。具体的には、内痔核の手術ではALTA注射療法を併用し切る部分を最小限にします。裂肛の手術は全くメスを使用せず、用手的にストレッチングします。痔瘻の手術は肛門括約筋をできるだけ温存する術式で行います。

日帰り手術のデメリット

手術をしたらすぐに医師や看護師の監視の下から離れるので、いくつか心配なことがあります。

  • 帰宅に際して
    仙骨硬膜外麻酔で手術を行った場合は患者様の安全を確保するため、完全に麻酔が覚めたことを確認してから帰宅していただきます。ただし麻酔の覚めが悪い場合は、家族の方に迎えに来てもらったり、タクシーでの帰宅をお願いすることもあります。
  • 術後の生活
    手術後の1週間程度は、過度な労働、飲酒、激しい運動、旅行、出張などを制限していただく必要があります。また排便コントロールが重要になってくるため、食事や調整や下剤の服用などお願いする場合もあります。